保育園でどんなことをしているか知っていますか?
保育をしていることはもちろんなのですが、むやみやたらにしているわけではないのです。
どんなことを基準に保育をしているかここでご紹介します。
何を基準に保育をしているの?(保育所保育指針について)
保育の基準となる基本原則は、厚生労働省が示している保育所保育指針に記載されています。
第1~13章まであり、月齢別の内容が細かく記載されています。
この中に示されている内容をしっかりと踏まえた上で、各保育所がそれぞれの特色を生かし、創意工夫を図っていくことが求められています。
保育士をはじめ職員一人一人が日々の保育に活用しながら、保育の内容の充実や保育の質の向上を図る必要があります。
具体的には、保育所保育の目的、特性、子育て支援、保育士の専門性に始まり、 保育の原理、子どもの発達、保育の内容や職員の資質向上などについて記載がされています。
保育の参考に見てるだけではありません。
保育士は保育をするのにあたって沢山の書類を作成します。
保育課程、年間保育計画、期案、月案、週案、個別指導計画、日案などですが、
どれもこの「保育所保育指針」を基準に作成しています。
そのほか、健康診断や予防接種などのことも詳しく書かれています。
年齢別の概要とは
保育所保育指針には、0歳~6歳まで8分割に分かれてかかれています。
発達、関わり、ねらい、内容、配慮と詳しく説明されています。
発達
その年齢の基本的な発達の状態が書かれています。
ここを見ると次にどんな成長が見られるのかということが明確にわかります。
関わり
その時期の子どもにどのように関わると理想的な発達が見込まれるかということですね。
ねらい
保育する上でどんなことをねらいにもってくるかということが書かれています。
年齢別に書かれているので書類にする時にもしやすくなっています。
内容
五領域という切り口からかかれています。
五領域とは「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」です。
この5つの視点から子どもの期待する成長が記載されています。
もちろん年齢ごとにあったものです。
配慮
どんなことに気を付けるべきかということですね。
ここも五領域に分けて、細かくかかれています。
関わりとは少し違い、子どもが自ら学びとっていけるように子どもに見えない援助という感じですね。
年齢の8分割について
年齢の8分割の詳細はこんな感じです。
- 六か月未満児
- 六か月から一歳三か月未満児
- 一歳三か月から二歳未満児
- 二歳未満児から三歳未満児
- 三歳未満児から四歳未満児
- 四歳未満児から五歳未満児
- 六歳未満児から六歳未満児
- 六歳児
「0歳~1歳」という区分に分かれていないのは、それだけ発達が著しい時期だからといえます。
また、六か月未満の子を預かる保育園が少ないのでそれも要因のひとつなのかもしれませんね。
三歳児未満までの指針内容は養護や身体などの発達がメインです。
三歳児未満以降の指針内容は発達のことも記載されていますが、小学校就学にむけて教育の内容もはいってきます。
この時期の発達は身体ではなく、内面的なものです。
年齢別の指針についての概要(以下保育所保育指針第2章より抜粋)
(1)おおむね6か月未満
誕生後、母体内から外界への急激な環境の変化に適応し、著しい発達が見られる。
首がすわり、手足の動きが活発になり、その後、寝返り、腹ばいなど全身の動きが活発になる。
視覚、聴覚などの感覚の発達はめざましく、泣く、笑うなどの表情の変化や体の動き、喃語などで自分の欲求を表現し、これに応答的に関わる特定の大人との間に情緒的な絆が形成される。
(2)おおむね6か月から1歳3か月未満
座る、はう、立つ、つたい歩きといった運動機能が発達すること、及び腕や 手先を意図的に動かせるようになることにより、周囲の人や物に興味を示し、 探索活動が活発になる。
特定の大人との応答的な関わりにより、情緒的な絆が 深まり、あやしてもらうと喜ぶなどやり取りが盛んになる一方で、人見知りを するようになる。
また、身近な大人との関係の中で、自分の意思や欲求を身振 りなどで伝えようとし、大人から自分に向けられた気持ちや簡単な言葉が分か るようになる。食事は、離乳食から幼児食へ徐々に移行する。
(3)おおむね1歳3か月から2歳未満
歩き始め、手を使い、言葉を話すようになることにより、身近な人や身の回 りの物に自発的に働きかけていく。
歩く、押す、つまむ、めくるなど様々な運 動機能の発達や新しい行動の獲得により、環境に働きかける意欲を一層高める。
その中で、物をやり取りしたり、取り合ったりする姿が見られるとともに、玩 具等を実物に見立てるなどの象徴機能が発達し、人や物との関わりが強まる。
また、大人の言うことが分かるようになり、自分の意思を親しい大人に伝えた いという欲求が高まる。指差し、身振り、片言などを盛んに使うようになり、 二語文を話し始める。
(4)おおむね2歳
歩く、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能や、指先の機能が発達する。それ に伴い、食事、衣類の着脱など身の回りのことを自分でしようとする。
また、 排泄の自立のための身体的機能も整ってくる。発声が明瞭になり、語彙も著し く増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる。
行動範囲が広が り探索活動が盛んになる中、自我の育ちの表れとして、強く自己主張する姿が 見られる。
盛んに模倣し、物事の間の共通性を見いだすことができるようにな るとともに、象徴機能の発達により、大人と一緒に簡単なごっこ遊びを楽しむ ようになる。
(5)おおむね3歳
基本的な運動機能が伸び、それに伴い、食事、排泄、衣類の着脱などもほぼ 自立できるようになる。
話し言葉の基礎ができて、盛んに質問するなど知的興 味や関心が高まる。自我がよりはっきりしてくるとともに、友達との関わりが 多くなるが、実際には、同じ遊びをそれぞれが楽しんでいる平行遊びであるこ とが多い。
大人の行動や日常生活において経験したことをごっこ遊びに取り入 れたり、象徴機能や観察力を発揮して、遊びの内容に発展性が見られるように なる。予想や意図、期待を持って行動できるようになる。
(6)おおむね4歳
全身のバランスを取る能力が発達し、体の動きが巧みになる。
自然など身近 な環境に積極的に関わり、様々な物の特性を知り、それらとの関わり方や遊び 方を体得していく。想像力が豊かになり、目的を持って行動し、つくったり、 かいたり、試したりするようになるが、自分の行動やその結果を予測して不安 になるなどの葛藤も経験する。
仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増 えてくる。その一方で、決まりの大切さに気付き、守ろうとするようになる。 感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の気持ちを抑えら れたり、我慢ができるようになってくる。
(7)おおむね5歳
基本的な生活習慣が身に付き、運動機能はますます伸び、喜んで運動遊びを したり、仲間と共に活発に遊ぶ。
言葉によって共通のイメージを持って遊んだ り、目的に向かって集団で行動することが増える。
さらに、遊びを発展させ、 楽しむために、自分たちで決まりを作ったりする。
また、自分なりに考えて判 断したり、批判する力が生まれ、けんかを自分たちで解決しようとするなど、お互いに相手を許したり、異なる思いや考えを認めたりといった社会生活に必要な基本的な力を身に付けていく。
他人の役に立つことを嬉しく感じたりして、仲間の中の一人としての自覚が生まれる。
(8)おおむね6歳
全身運動が滑らかで巧みになり、快活に跳び回るようになる。これまでの体 験から、自信や、予想や見通しを立てる力が育ち、心身共に力があふれ、意欲が旺盛になる。
仲間の意思を大切にしようとし、役割の分担が生まれるような 協同遊びやごっこ遊びを行い、満足するまで取り組もうとする。
様々な知識や経験を生かし、創意工夫を重ね、遊びを発展させる。思考力や認識力も高まり、自然事象や社会事象、文字などへの興味や関心も深まっていく。
身近な大人に甘え、気持ちを休めることもあるが、様々な経験を通して自立心が一層高まっていく。
まとめ
保育所保育指針という言葉から難しいんだろうと思ってしまいがちですが、そんなことはありません。
開いてみると意外とすんなり理解できることばかりです。
保育園だけではなく、お子さんの発達が気になった時にも年齢別に書かれているので、お子さんの年齢の発達や関わりが役立つアイテムかもしれません。
保育士の皆さんは大いに参考にして保育に生かしてくださいね。